まだら色になった妻

まだら色になった妻

結婚1年目でうつ病になった、気分も肌色もまだらな妻のブログ。たまに学生夫のこと。

【白斑ができるまで2】現れはじめたもの

白斑ができた頃のお話しの2つ目です。
前回の続きになります。前回のお話は、下記からどうぞ。 

madara-tsuma.hatenablog.com
※注意※
今回のお話しでは性犯罪の描写があります。具体的表現はなるべく避けていますが、そういったお話が苦手な方は、読むのをお控えください。

 



元来ヒステリックになりやすかった母に更なる異変が重なり、その症状に『バセドウ病』という名前が付いた頃、私の頬にも小さな白いシミが現れました。

ただ、その頃の私は、自分の異変に大変無頓着でした。自分の容姿に深いコンプレックスもなければこだわりもなく、ファンデーションを塗ればほとんど目立たないこのシミを、そのうち消えるだろう程度にしか思っていませんでした。

それよりも、母の『バセドウ病』の症状の方がかなり重く、その症状やその症状で引き起こされる母の心の不調の方が、家族内では問題でした。

ちなみに、『バセドウ病』は甲状腺のホルモン異常から起こる病気です。甲状腺機能亢進症という症状が起こる病で、前回のお話しの最後にある通り、動悸や異常な発汗、またとても疲れやすいのに気分が病気のせいで高揚してしまうため、動き回ってしまったり、その後はいきなり起き上がれなくなったりします。精神的にもとても不安定になりやすい病気です。

バセドウ病』は薬でホルモンの量を調整して治療をしていきますが、母の場合はこの調整が大変難しく、甲状腺機能亢進症とは全く逆の甲状腺機能低下症の症状が現れることもしばしばあり、それもまた母を苦しめました。

それまでの家庭内の問題も解決していない上に、母の病気が重なって、支える側であった父や私にとっても、ダブルパンチでした。

精神疾患を患っているようにも思えてしまうほど、情緒不安定な母を支えるのは容易ではありませんでした。母は自分のことでいっぱいいっぱいで、少しでも否定的な発言をされるだけでパニックを起こし、家中のものを投げたり、家を飛び出したりしていました。*1

また、金銭面でも、我が家は徐々に逼迫していきました。弟の更生のためにお金を使っていた経緯もありますが、母のお金の使い方も完全におかしくなっていました。お金を使うことが、家庭環境や病気で受けるストレスの捌け口になっていたんだろうと思います。

かくいう私も、精神的には限界にきており、常に心の中は不安だらけで、このような状況においても一切家庭を顧みない弟に対し、刃物を向けてしまうこともありました。

そんな、すでにどん底くらいの精神状態だった私に、さらに追い打ちを掛けるように、ある事件が起こりました。

それは、暴漢に襲われ、怪我を負ってしまったこと。

地元でアルバイトをした帰り道、雨が降る中、いけないことですが、傘をさしながら自転車を漕いでいました。人がいないからとお願いされた、初めての深夜帯のシフトで、車通りもほとんどない夜道でした。もうあと数分で家に着くというところで、路地から雨合羽を着た人が――。

後ろから抱き着かれたあと、あっという間に私は自転車ごと倒されてしまいました。口を押えられながらも、大声で叫び、足でその人の腹部を蹴飛ばしながら、必死に抵抗をしました。

そして、その人は元来た道へと走って逃げていきました。数分のできごとでした。

全身雨でずぶ濡れになり、自分の身に起こったことが整理できないまま、足に違和感を覚えつつ、家に帰りました。

母は、アルバイトとはいえ、遅すぎる娘の帰宅におかんむり。帰宅した私を見るや否や、平手打ちをお見舞いしてきた母に、私は何も言えませんでした。その夜は、なんで私が、という気持ちと、どんどん腫れる足の痛みで、眠ることができず過ごしました。

朝、普段の倍に腫れあがった足の痛みに耐えかねた私は、母に自転車で転んだと嘘を言って病院に行きました。ギブスで固定され、松葉杖を使わなければ歩けないほどの重度の肉離れ。全治3週間と診断されました。

私はそこまで大きな怪我を負ってしまったことに驚き、そして、考えれば考えるほど、自分を狙っていたのではないかと恐怖を感じるようになりました。

「深夜、女性が通る可能性の少ない道に、なぜそんな人がいたのか。」
「その日の私はズボンで傘も差していて、なぜ女性だと分かったのか。」
「怪我が治っても、いずれまた襲われてしまうかもしれない。」

不安が募りに募り、事件が起こってから二日目にして、ようやく母に本当のことを伝えました。

そして、警察に被害届を出しました。

*1:バセドウ病』を罹患している全ての方がこうなってしまうというわけではありません。母の場合はそういった症状が強く出ていたといことですので、誤解されないようお願いいたします。